「雅っ! あんた一ヶ月後には三年生!

もううかうかしてられないわよ!」

くっ……

妙子さん、ワタクシだってそんくらい分かってるわよ!(一応)

「あたしは独学では無理だったの!」

この一言が……

大きくあたしの人生を左右する事を、まだあたしは知らなかった。

「言ったわね! じゃあ家庭教師よ!」

かかかっ家庭教師!?

冗談じゃない!

見知らぬ先生と二人きりで!?

密度濃かろう空間で!?

黙々勉強だと!?

「やってられるかぁ!!

絶対反対だからね!

気まずいもんっ!

あたしヨッチャンと同じ塾行くから!」

下に向かって大きく叫ぶと、あたしは自分の城(六畳の部屋)に閉じこもった。

だが、扉を閉めたにも関わらず、未だに母の声は聞こえる。

「大丈夫よー。

家庭教師をお願いすんのはあなたの従兄なんだからっ」

いいい従兄?

従兄様(おにいさま)!?

「あたしに従兄とかいたの!?」

初耳だぞ妙子ーっっ

「ええ。 今まで北海道に住んでたんだけどね。

教師になりたい為にうちの国立王様大学に通うことになったのよ。」

チッ……

また王様かよっ!

でも従兄だったら気楽に勉強できそうだしなぁ……

「その人……従兄様ってどんな人?」

あたしの質問に母親は不気味な笑い声をもらした。