息を大きく吸い、落ち着こうと試みる



…だけれど………


肺に行きつく前に感じるのは…



鼻腔いっぱいに広がる鉄の匂い



それがなにか、と尋ねなくても何かはもうわかっている



血、だ



あたしの周りには、この部屋には夥しいほどの血が広がっている



血の匂いを一度感じてしまえばそれに意識が向いて、もう落ち着くために大きく吸おうだなんて考えなんてなくしてしまう…



朱莉「助けてーーー!!」




朱莉の叫び声を聞いて胸が締め付けられる



彼女はあんなにも傷ついているのに、あたしは何もできない



立つこともままならない




思いっきり手を握りしめる



歯をかみしめる













…そんなことをしても




悔しさは薄れることはなかった…