振り返ると、髪の毛はリーゼント、短ランにボンタンといういかにも昭和の不良っぽい人がいて。
「金出せよ」
「えっ?」
思わず声に出してしまった僕の言葉に、不良の額に青筋が浮かぶ。
や、やばい……怒らせた?
「いいから出せっつってんだよ!」
「ひぃぃっ」
逃げようとして肩を掴まれる。これが世に言う、絶体絶命ってやつなのか!?
ドカッ。頬に痛みが走る。
「っつう」
初めて人に殴られた感覚は、ただ、ただ痛いということ。
「おっコレが財布かぁ?」
殴られた拍子に鞄から飛び出した、僕の筆箱を拾って不良は言った。