「優にしたら?」


なおも花音が勧めてくる。


私はウインナーを飲み込みながら首を横に振った。


そうして、昨日の情事を思い浮かべた。


好きで好きでたまらない遠藤さんに抱かれて性的に最高の満足を得ることができた。


女の幸せ、女の喜びを知った。


知ることができたのは遠藤さんのおかげだ。


そのセックスの相性のいい遠藤さんをふって早漏の優とまた付き合うなんて考えられない。


もう元彼には戻れない。


紙パックのカフェオレを手に取った花音がストローをくわえながら低い声でこんなことを言った。


「あの人はやめた方がいい」


『どうして?』と聞きたかった。


でも、すぐ花音がこう付け足す。


「あんなタイプはプレイボーイだから付き合ったら不幸になる。いつか別れることになるよ」


そんなことない。


花音はわかってない。


遠藤さんはプレイボーイなんかじゃない。


『これからずっと大切にする』と言ってくれた誠実な人だ。


「私も優しい感じのイケメンに弱かったんだ」


ストローを口から離した花音がポツリと呟いた。