「片付いてるでしょ? 意外とキレイ好きなんだ」


「たしかに男の一人暮らしの部屋に見えない。キレイ過ぎるよ。誰かいるな? 白状しろ!」


冗談っぽく言った。


「ははは。誰もいないよ。本当」


遠藤さんの笑顔がこぼれる。


「本当かなあ? 怪しい。寝室見せてよ」


軽い気持ちで頼んでみた。


遠藤さんは何も答えない。


部屋の空気が変わる。


物音一つしない静かなリビングで、ひと口だけ私はウーロン茶を飲んだ。


「ベッドルーム、見たい?」


遠藤さんが落ち着いた様子で尋ねる。


その顔は真剣だった。


「うん……」


身体が凝縮する。


きっと、私の顔は緊張で強張っているだろう。


男女が二人でベッドルームに入る。


それから、起こることは一つしかない。


そう考えると変な気分になってきた。


もう、遠藤さんの顔が見られない。