リビングとダイニングの仕切りにガラスのディスプレイラックがあって、いろいろな置物が並べられていた。


インテリア雑誌から抜け出たようなキレイな空間だ。


やっぱり遠藤さんはセンスが良い。


カッコイイし優しいし、おまけにセンスの良いオシャレさんを彼氏にしてしまうなんて私は果報者だ。


今、すごい幸せだ。


モスキートーンが聞こえる。


携帯を手にして見ると、母親からの着信だった。


きっと、見知らぬ男とドライブに行ったから心配しているんだろう。


不倫なんかするような母親と電話で話す気になれず、それを放置しておいた。


モスキートーンが聞こえなくなって携帯画面を見ると、現在の時刻がデジタル文字で表示されていた。


もう夕方だ。


渋滞に捕まって遠藤さんが一人暮らししているというマンションに着くのが遅れた。


自然の成り行きで遠藤さんが住むこのタワーマンションに連れて来られた。


この先、何が起こるか女子高生の私でも想像がつく。


「はい」


遠藤さんがリビングに戻ってきてウーロン茶の入ったグラスをソファの前のガラステーブルに置いた。


「ありがとう」


私がそのグラスを掴む。


「1LDKプラス書斎。書斎は仕事する部屋に使ってるんだ」


「ふーん。キレイで驚いた。超カッコイイ」