「寂しくないですよ。全然平気」


「そう。よかった。ところで、好きな人がいるって言ったね」


その言葉に心臓が止まりそうになった。


ここで私を問いただすつもりだろうか?


「誰?」


遠藤さんが、じっと私の瞳を見つめる。


私も見つめ返す。


浜風が私の頬を撫で髪を揺さぶる中、私たち二人は見つめ合って佇んだ。


遠藤さんの瞳は私だけを見ていた。


私を愛しく見ているような瞳だ。


この人にキスしたい。


今、ここでキスをせがんだら、してくれるだろうか?


思い切って、私は遠藤さんに抱きついた。


好きな人はあなた、つまり、遠藤葵だと言葉で伝えず私は行動で表現した。


すると、遠藤さんが私の背中に腕を回す。


ギュッと抱きしめてくれた。


私たちは両思いだったんだ。


やっと、遠藤さんの気持ちを知ることができた。


顔を上げて遠藤さんを見る。


照れた顔をして可愛い。