車窓から空を見た。
紫陽花が咲く季節特有の今にも泣き出しそうな梅雨空だ。
お願い、今日だけは泣かないで。
とても大事な日だから、泣くなら他の日にして。
私の願いが空に通じたのか雲の切れ目から青空が見えてきた。
それを見た私の心の空も、曇りから晴れに変わりつつあった。
車が都会を離れて海に着く頃には、青天井を覆っていた雲はほとんど消えてなくなっていた。
私の不安も消えてホッと息を吐く。
「窓の景色に夢中だね」
運転中の遠藤さんが私に話しかける。
「雨が降るんじゃないかって」
「気を揉んでたの? 天気予報では晴れだって言ってたよ」
「そうなんですか? よかった」
私は両手で握り締めていた口紅をさらにぎゅっと握った。
この口紅は、私が前に遠藤さんの車の中で落としてしまったものだ。
今、遠藤さんとドライブに出かけている。
あれから何度もメールでやり取りして予定を合わせて、ドライブデートの日取りを決めた。
行き先は、海だ。
今日、車に乗り込んだ時に私が拾うはずだった口紅を見つけた。
それを黙って拾った。
紫陽花が咲く季節特有の今にも泣き出しそうな梅雨空だ。
お願い、今日だけは泣かないで。
とても大事な日だから、泣くなら他の日にして。
私の願いが空に通じたのか雲の切れ目から青空が見えてきた。
それを見た私の心の空も、曇りから晴れに変わりつつあった。
車が都会を離れて海に着く頃には、青天井を覆っていた雲はほとんど消えてなくなっていた。
私の不安も消えてホッと息を吐く。
「窓の景色に夢中だね」
運転中の遠藤さんが私に話しかける。
「雨が降るんじゃないかって」
「気を揉んでたの? 天気予報では晴れだって言ってたよ」
「そうなんですか? よかった」
私は両手で握り締めていた口紅をさらにぎゅっと握った。
この口紅は、私が前に遠藤さんの車の中で落としてしまったものだ。
今、遠藤さんとドライブに出かけている。
あれから何度もメールでやり取りして予定を合わせて、ドライブデートの日取りを決めた。
行き先は、海だ。
今日、車に乗り込んだ時に私が拾うはずだった口紅を見つけた。
それを黙って拾った。