「幸せになれよ」


瞳を涙でキラキラ輝かせて、優が言葉を口にする。


それを聞いて、私の瞳から生温かい水滴が頬を伝って流れ落ちた。


ポタッと一滴だけ落ちたそれは、手の甲に付いた。


「お前まで泣くなよ。もらい泣きか?」


「ありがとう」


「何言ってんだよ。こっちこそ、今までありがとう」


優の言葉の一つ、一つが私の涙腺を刺激する。


花音の言ったとおり、優はいい人だった。


この人と付き合えてよかった。


「薫と別れても、俺は薫を待ってるから」


そう言って優が私の手を取ると、両手で強く握り締めた。


「遠藤さんにふられたら、いつでも俺のところに戻ってこい。そのために、彼女のポストは空けとくよ」


「そんな! 優の優しさに甘えられない」


「いいから、いいから。それよりも薫、頑張れよ」


笑顔で優が私の背中を押してくれた。


ありがとう。


優は名前通り、優しかった。


その優しさ、一生忘れない。


それから、ごめんね。