優みたいな愛情深くて優しい人は、もっと性格良い子と付き合った方がいい。


私みたいな勝手な女のことは今すぐにでも忘れて、ね?


「ごめんな。俺、泣いて困らせたくなかったんだ。でも、勝手に涙が……」


優は洟をすする音と同時に、顔からハンカチを取った。


優は、もう泣き止んでいた。


「もう、いいよ。私の言ったことは忘れて」


「いや、そんなわけにはいかない」


優が強い信念を持った目で私を見る。


その目にドキッとした。


「最後くらい男らしいとこ、お前に見せたい」


そう言い放つと、じっと優は視線を私に送る。


私が首を傾げると優がまた泣きそうな顔になったけれど、ぐっとこらえて真剣な顔をしているようだった。


「俺、お前のことメチャクチャ好きだ。好きだから縛りつけたくない。別れよ」


「え?」


「きっぱりお前とは別れる。もう会わないよ」


「いいの?」


「いいよ。その代わり……」


優はそこまで言うと、言いよどんだ。


少し、はにかんでいる。


なんだろう?