そうして、沈痛な面持ちでガラス越しの外の方を見た。


その目は、悲しい目をしていた。


「イイ男だから」


ポツリと呟くように優は言った。


事実ゆえ反論することができない。


もう、肯定するしかない。


「そうだよ。よくわかったね」


そうカミングアウトして、あっさり認めたら心が軽くなった。


鉛のように重く憂鬱だった優との関係が今、切れようとしている。


「やっぱりな。すごいカッコイイもんな。俺とは違う」


どこか無理して強がっているような言い方だった。


それからすぐ、優は顔を伏せた。


「別れ……たい……?」


それは、蚊の鳴くような声だった。


私は優の問いかけに答えを出さなくてはいけない。


いつかは、言わなければならないことだった。


「うん」


重く苦しい息と共に言葉を漏らす。


苦痛を与えるのも苦痛だと、思い知った。


そして、早くこの瞬間が終わればいいとも思った。