そのガラスのそばに私は座らされた。


「ご注文は?」


「アイスカフェオレ、一つ」


注文を終えると、ピカピカ光るガラスに顔を向けた。


外の景色を見る。


狭い通路を走る車や行き交う人々をぼんやり見ながら優と過ごした日々を思い返した。


青山のカフェといえば私たち二人にとって、この店しかない。


デートするのに、よく二人で来た店だ。


ここでいろんな話をしたっけ。


学校のことや家のこと、将来のことなど語ることがなくなるぐらい語り尽くした。


だからだろうか?


優に飽きてしまった。


初めての来店は、優と入ったんだった。


雑誌で見たオシャレなこの店を優といる時、偶然発見したんだった。


あの頃は、まだ優と友達だった。


そして、別れが来るなんて想像もしていなかった。


ずっと、親しい間柄でいられると思っていた。


あのまま友達だったら、相談相手だったら、今日という日は来なかったかもしれない。


視線をガラスから店内に向ける。


床は大理石調の白タイルで椅子もテーブルも白で、店の内装は白を基調としていた。


日当たりが良く明るく清潔な店だ。