「ありました。ありました」
口紅を握り締めて報告する。
「そう。家に着いたよ。これ、僕の名刺」
車は車道の路肩に止まっていて遠藤さんが名刺を私に渡す。
「いつでも連絡して」
「いいんですか? 連絡します。明日どうなるか必ず報告しますから。話を聞いてくださいね」
遠藤さんが少し微笑んで頷いたのを確認すると私は嬉しくなって、とびっきりの笑顔を向けた。
名刺と口紅を手にしたまま、助手席のドアを開け車から降りて遠藤さんの方に向き直る。
「今日は楽しかったです。ありがとうございました」
窓越しにペコリとお辞儀して別れの挨拶を口にした。
遠藤さんは、にっこり笑いながら手を振った後、車で走り去っていった。
車道の車が見えなくなるまで歩道に立って見送る。
夜風がそよそよと吹いて気持ちがいい。
車が消えたので、そろそろマンション内に入ることにした。
マンション玄関の間接照明に手の中の名刺と口紅が照らされた瞬間、驚愕した。
違う!
これは、私の口紅じゃない!
それは、私のピンクの口紅と容器が明らかに異なっていた。
円筒型の白色が私ので、この口紅は四角柱の黒っぽい色をしている。
これは誰の口紅だろう?
なんで持って帰って来たんだろう?
そういえば、落とした時に間違えて拾ったのかもしれない。
だとすれば、これは遠藤さんと関わり合いのある女性の口紅だ。
一体、誰の口紅なのか気になって気になって今夜は眠りに就けそうにない。
口紅を握り締めて報告する。
「そう。家に着いたよ。これ、僕の名刺」
車は車道の路肩に止まっていて遠藤さんが名刺を私に渡す。
「いつでも連絡して」
「いいんですか? 連絡します。明日どうなるか必ず報告しますから。話を聞いてくださいね」
遠藤さんが少し微笑んで頷いたのを確認すると私は嬉しくなって、とびっきりの笑顔を向けた。
名刺と口紅を手にしたまま、助手席のドアを開け車から降りて遠藤さんの方に向き直る。
「今日は楽しかったです。ありがとうございました」
窓越しにペコリとお辞儀して別れの挨拶を口にした。
遠藤さんは、にっこり笑いながら手を振った後、車で走り去っていった。
車道の車が見えなくなるまで歩道に立って見送る。
夜風がそよそよと吹いて気持ちがいい。
車が消えたので、そろそろマンション内に入ることにした。
マンション玄関の間接照明に手の中の名刺と口紅が照らされた瞬間、驚愕した。
違う!
これは、私の口紅じゃない!
それは、私のピンクの口紅と容器が明らかに異なっていた。
円筒型の白色が私ので、この口紅は四角柱の黒っぽい色をしている。
これは誰の口紅だろう?
なんで持って帰って来たんだろう?
そういえば、落とした時に間違えて拾ったのかもしれない。
だとすれば、これは遠藤さんと関わり合いのある女性の口紅だ。
一体、誰の口紅なのか気になって気になって今夜は眠りに就けそうにない。