優が激しい口調で詰問する。


少しの沈黙の後、ズルズル、ズルズルと洟をすする音が聞こえてきた。


顔を上げると、優は目の縁に涙をいっぱい溜めていた。


その涙は今にもこぼれそうだった。


罪悪感でいっぱいだ。


優、ごめんね。


私を許して。


本当、自分でも優になんて話したらいいのかわからない。


優を傷つけたくない。


でも、傷つけずにはいられない。


その時、ガタッと椅子を引く音がした。


足音がして誰かがこちらに近づいてくるのがわかる。


足音が止まり、誰かが私と優のそばに立った。


「薫ちゃん」


ふわりと優しい声で私は名前を呼ばれた。


ゆっくりと、その人の方に顔を向ける。


そこに立っていたのは、待ち望んでいた愛しいあの人、まさしく遠藤さんだった。


きっと、私が優に気を取られている間に来店していたんだ。


やっと、会えた。


でも、こんな彼氏との修羅場を見られて気恥ずかしい。