先が長いから素敵な人とたくさん出会えるだろう。


真実の愛を探し求めて私は人生の旅を続ける。


「そっか。それを聞いて安心したよ。また、薫が遠藤さんと不倫するんじゃないかって心配してたんだ。よかった」


ホッとした表情をすると優は席を立ち上がった。


「もう、帰るよ」


「え? 帰る?」


「うん。ちょっと薫と話がしたかったんだ」


「食事しないの? すぐ始まるよ」


「いや、いいんだ。帰る」


「じゃあ、これ」


私は自分の肩にかかっていた優の上着を取ると、それを優に差し出した。


優は笑みを浮かべたけれど、それを受け取らない。


「いいよ。学校で返して。風邪引くといけないから。三年は理系クラスだろ?」


「うん。なんで知ってるの?」


「さっき、聞こえたよ。俺も理系クラスにしたから。同じクラスになったら、よろしく!」


そう明るく告げると優はゲストハウスを出ようと扉口まで行った。


「ありがとう。もし同じクラスになったら、こっちこそよろしくね」


私が優に向かって叫ぶ。


優は笑顔をこちらに向けて軽く手を振ってくれた。


そして、扉口の外へと消えていった。