テーブルに座っているのは私と優だけになった。


女友達は花音の席の前で騒ぎ始めた。


新郎新婦のテーブルから女友達が花音を冷やかす声が聞こえてくる。


「まだ忘れられないの?」


優の沈んだ声が私の胸を打つ。


「忘れられないって?」


「まだ遠藤さんが忘れらないから俺のこと拒んだの?」


おめでたい席なのに晴れ晴れとしない表情の優が私に問い返す。


「葵はもう忘れたよ」


私は盲目の恋に溺れていた。


でも、目が覚めた。


次からは失敗しないように気をつけたい。


「他に好きな人ができたの?」


「ううん。新しい恋がしたいんだ。本当に心から愛し合える誰かと……」


また情熱的な恋がしたい。


次はどんな相手と恋をするんだろう?


そう思うと胸がわくわくしてきた。


特に、春は出会いの予感がする。


こんな結婚式の二次会だってカップルが誕生しやすいらしい。


まだまだ私の人生はこれからだ。