正直、気持ちを押し付けられても私は困る。


心が完全に離れたんだから、どうしたらいいのかわからない。


重い苦悩のため息が口から漏れた。


「はい、つくね」


声がしたと思ったら、コトンと皿をカウンターに置いた花音が私の視界に入ってくる。


「何本食べたら気が済むの?」


カウンター越しにいる花音が呆れた表情で聞く。


「さあね。私はつくねなら何本でも食べられる」


そう答えて、皿の上のつくねを一本取った。


本日9本目のつくねになる。


「つくねも好きだけど、遠藤さんも好きってわけか……」


花音の言葉に、口に含んでいたつくねが私の喉に詰まりそうになる。


花音に私の気持ちがバレてたんだ。


優のことで責められると思って内緒にしていたけれど、すべてお見通しだったんだ。


見透かされては、しかたない。


全部、白状しよう。


「いつから気付いてた?」


「うーん。いつからだろう? よく店に来るようになってからかなあ? なんで来るのか考えてみたら遠藤さんと会ってからかなあって思ってさ。やっぱ当たってたんだ。最近、なんとなく優とうまくいってないような感じがしてたし。もしかして、それが原因?」


「まあ、そんなところ。優は遠藤さんのこと知らないけどね。どうなるのかなー?」


「優がかわいそう。いい奴なのに。薫の気持ちもわからないわけじゃないけど。優をふる気? 傷つけることになるよ?」


「言うと思った。優の擁護に回るだろう、私を詰るだろうって。だから、言わなかったんだ」