ガタッと席を立つと彼女は近くのテーブルにいた優を呼んだ。


優がゆっくり歩いて私たちのところにやって来る。


「優君。薫の席の隣がいいでしょ?」


「え?」


優は目を白黒させる。


「いいの、いいの。遠慮しないで」


優を無理矢理、座らせる。


「私はあっち行くから。ごゆっくり」


優がいた席を指差して彼女はニヤッと笑った。


本人は気を利かせたつもりのようだ。


「えっと……花音の席……行かない?」


同じテーブルにいる子が誘う。


「そ……そうだね……」


「それ……いいね……」


女友達が席を立った。


合わせて私も席を立つ。


「か……薫は座ってなよ……ね?」


女友達の一人に止められた。


私と優を二人きりにさせたいんだ。


女友達は皆このテーブルから新郎新婦のテーブルに移った。