葵が化粧室へ入ったのを確認すると花音が怒りを露にした。


「あいつ! 何考えてんの!? 『久しぶりだね。会いたかったよ』だって! どの面下げて言えるわけ? 薫をだましておいて!」


「落ち着いて。そろそろ座ろう」


私が花音をなだめる。


テーブルはピンクのテーブルクロスで、そのテーブルを装う花もピンクでグラデーションローズだった。


椅子はホワイトのチェアカバーの椅子が用意されていてリボンが付いていた。


テーブル上にはピンクのナプキンとホワイトのメニューカード、ネームカードが置かれていた。


私は自分のネームカードを探した。


テーブル上のネームカードを一つずつチェックしていく。


ネームカードを見つけて自分の席に座る。


同じテーブルの子たちは全員私の女友達だった。


「遠藤さんって色っぽい」


「私も思った。美形だね。あれは惚れるよ」


「私も好きになりそう。不倫でもいい」


同じテーブルの子たちは葵の話で盛り上がった。


彼女たちは葵の方をチラチラ見る。


「ところで、この上着、誰の?」


隣の席の女友達がそう聞きながら優がかけてくれた上着を触る。


「優の」


「ふーん。そういうこと。わかったよ」