それから、歌詞カードを見ながら讃美歌を歌った。


オルガンによる演奏で歌っていると、後ろから優の歌う声がした。


優が結婚式に来ているんだ。


私は優の存在が気になって式どころではなくなった。


結婚式は欠席すると思っていた。


それなのに、優は来ている。


私はあれから優のプロポーズを断った。


断った日に、生理が来た。


妊娠はしていなかった。


あれは、私の勘違いだった。


きっと、精神的ストレスが原因で吐いたり生理が遅れたんだろう。


優とは気まずくなってしまったので、妊娠していない事実を花音が優に伝えてくれた。


私と優は気まずい関係が続いていた。


学校に行くようになったけれど、学校で優と会うのが恐かった。


二度も私に振られたので、向こうも私を嫌っているだろう。


だから、今日、結婚式に招待されているのに優は私を避けて来ないんじゃないかと思っていた。


でも、来ている。


「あなたは、その健やかなときも、病めるときも、常にこれを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、これを守り、その命の限り、固く節操を守ることを誓いますか?」


気がつけば、牧師が花音に結婚の誓いを求めていた。


「はい。誓います」