オルガンの音楽が耳に心地いい。


教会のガラス張りの天井から日が射し込んでいた。


約十メートルある白の大理石のバージンロードを牧師が歩いていた。


その後ろを新郎である店長がグレーのタキシードを着て歩いていた。


店長は緊張しているのか硬くなっていた。


そんな彼を見て私は思わず、笑いそうになった。


二人は祭壇まで来ると立ち止まった。


私を含めて座っていた参列者が全員立ち上がる。


新婦の入場だ。


扉が開く。


「うわ！　花音ちゃん、女優みたい！」


参列者の一人である女性が叫ぶ。


花音はマタニティーウェディングだから自分の体型に合ったドレスを着ていた。


白いウェディングドレスは胸が大きく開いていた。


そして、首のネックレスが輝いていた。


近くで見ると、まつ毛がくりんと上を向いた目鼻立ちのしっかりした美人の花嫁に変身していたので驚いた。


いつも地味だと思っていた花音が今日はとても華やかだった。


左手にピンクローズのラウンドブーケを持った花音は父親と腕を組んで歩いていた。


花音の父親が今にも泣きそうな顔をしていたので私は吹き出しそうになった。


その父親は、店長のそばまで来ると席に戻った。