体中の細胞が強く葵を求めている。


それなのに、葵を諦めなければならない。


胃が痛くなってきた。


胃の中の酸っぱい液が逆流して吐き気が込み上げる。


口を手で押さえながら部屋を飛び出してトイレに駆け込む。


洋式の便器の中に吐いた。


胃がずっと痙攣している。


黄色い液体を吐き続けた。


痙攣が痛くて涙が出る。


吐しゃ物で鼻が詰まる。


まるで地獄だ。


苦痛を感じながら最近、食べた物をよく吐いていることに気づいた。


生理もここ二ヶ月来ていない。


『妊娠』の二文字が頭に浮かぶ。


ようやく吐き終わって立ち上がった。


足元はフラフラだ。


とりあえず、トイレから部屋に戻る。


その足取りは重い。


部屋の柔らかいベッドの上で膝を抱えた。


妊娠の恐怖が脳裏を支配する。