ノートに涙の粒が落ちた。


ポタポタといくつも落ちる。


それが水玉模様を彩る。


数学の問題が解けない。


何時間もかかっている。


決して難しいというわけではない。


あと学校が始まるまで約7時間しかない。


冬休みの宿題が終わらない。


こんなことは初めてだ。


私は焦慮に駆られていた。


机の前に長い時間座っていると、ベッドに横たわりたくなってくる。


でも、心を鬼にして宿題を仕上げるまでは寝ないことに決めた。


あれからずっと身を切られるような日々を送っていた。


心からは血が噴き出していて激しい痛みが続いていた。


無理に葵のことを忘れようとして本を読んだりテレビを見たりしたけれど内容が頭の中に入ってこない。


今のように勉強していても集中できなくなって葵のことで頭がいっぱいになる。


全然ダメだ。


もうボロボロの状態だ。


あの笑顔を思い出さずにはいられない。


まだ、携帯のアドレス帳に葵のアドレスを登録したままだ。