私が冷静な口調で指示すると、優は黙って従った。


それで、玄関のドアは閉まった。


私は優を自分の部屋に通した。


部屋は使用済みティッシュで散らかっていた。


迂闊にも片付け忘れていた。


「ごめん。片付けるね」


そう言ってティッシュの山を持ち上げる。


それらをくずかごに入れた。


「手伝うよ」


身を屈めて優も拾う。


拾いながら遠慮がちに、こう尋ねる。


「なんで泣いてたの?」


「聞かないで」


「気になるだろ?」


「それは別にいいじゃない。来て」


優の手を取った。


ベッドへと誘う。


私がベッドに座ると優も座った。


「いいの?」


聞きながら、優のくりっとした瞳が微かに揺れた。