「ピンポーン」


来訪者を知らせるチャイムが鳴った。


きっと、優だ。


スイッチを切ったドライヤーを洗面台に置いて洗面所から玄関まで走る。


玄関のドアのチェーンをはずす。


サムターンを回してドアを開けた。


そこには、ダウンジャケットを着た優が立っていた。


「なっ!? お前! 何だよ、その格好!」


優が頬を赤らめている。


私はバスタオル一枚を素肌に巻いただけでほぼ裸だった。


それを見て驚いているようだ。


「服着ろよ!」 


優は戸惑っていて玄関の中に入ってこようとしない。


代わりに、開けたままの玄関ドアから寒風が入り込んできた。


寒風が家の中に流れる。


「寒い!」


「だったら、服着ろって! 何なんだよ! そんな姿で迎えられたら勘違いするだろーが!」


「私は、そのつもりで呼んだの」


「そのつもりって?」


「とにかく、寒いからドア閉めて」