「謝るなよ。話してみろよ。用があるから電話したんだろ?」


「うん……」


「もしかして、遠藤さんか?」


図星を指されて口をつぐむ。


「遠藤さんだろ? ひどいことされたのか?」


答えられない。


とにもかくにも、葵のことを忘れたいから私を抱いてほしい。


優は私を抱いてさえくれたら、それでいい。


そうすれば、すべて嫌なことが忘れられるような気がする。


「うちに来て」


優を誘う。


「わかった」


それだけ言い残すと電話を切った。


家の中は話し声がしない。


それもそのはず、正月だというのに両親が家を留守にしているからだ。


二人とも共に不倫旅行に出かけている。


私まで不倫していたので不倫一家だ。


なんだか笑える。


部屋から誰もいないリビングを通って浴室に移動した。


シャワーでもゆっくり浴びて優を待つことにした。