『仕事がなくなったから家族で初詣に行こう』ってことになって夏子さんと彩夏ちゃんを連れて仲良く初詣に出かけているんだろうか?


私と別れても気にしていないかもしれない。


彼にとって大事なのは家族なのだから別れた愛人のことなど少しも気に留めていないのではないだろうか?


そう思うと悔しい。


ベッドに倒れる。


うつ伏せに寝て、枕に顔を埋める。


葵は夏子さんのものなんだ。


だから、もう葵は私にキスしてくれない。


私を抱いてもくれないんだ。


あの指も手の感触も吐息を漏らす声も全部覚えていて忘れられない。


また、涙の波がじわっと押し寄せてくる。


息が苦しい。


胸が潰れそう。


また、抱き締めてほしい。


頬に口づけしてほしい。


葵の温もりを私の身体が求めている。


葵の身体がほしい。


せめて、お情けでもいい。


私を抱いてほしい。


セフレでもかまわない。