この恋は終わったんだ。


最悪の終わり方だった。


今はただ苦しい。


葵に対する強い憎しみが襲いかかってくる。


葵に惚れるんじゃなかった。


あんな最低な男に夢中になるんじゃなかった。


後悔しても今更遅い。


左手の薬指にはピンクダイヤのリングがまだはめられたままだ。


イヤラシイ光を放っている。


見ているだけで不愉快になった。


こんなもの、捨ててやる。


立ち上がって部屋のくずかごまで歩き寄る。


指輪をはずす。


くずかごの中にポイッと捨てた。


葵とは、さよならだ。


本当にもう、さよならだ。


二度と会わない。


部屋の壁掛け時計を見ると、正午過ぎだった。


葵と別れて一日経っていた。


今頃、何をしているんだろう?