私が悲鳴に近い声で叫ぶ。


葵は冷めた目付きに変わった。


深いため息をつく。


「じゃあ、もういいよ」


葵がゆっくりと立ち上がる。


「無理にとは言わない。合い鍵、返してくれる?」


それは本気で言ってるの?


もっと引き止めてくれないの?


冷た過ぎない?


これが大人の男なの?


「ほら、早く合い鍵返せよ!」


葵が乱暴な言葉を吐く。


怒っているようだ。


「そんな言い方ないんじゃ……」


「うるさい! 口答えするな!」


「何なの? それ逆ギレ?」


「黙れ! うるさい女だなあ! さっさと鍵渡して出ていけよ!」


葵の口の悪さに幻滅した。


こんな男だったんだ。


ますます嫌いになった。