でも、私は彼女の言う通り哀れな子供だったんだ。


惨めだ。


「この先、どうしたらいいかわからない」


つい本音が口をついて出る。


葵をふるなんて私にはできないかもしれない。


まだ愛している。


結婚したいと思っている。


この気持ちは抑えきれない。


「別の男を見つけて結婚するんだよ」


加瑠羅が落ち着いた口調でそう言いながら立ち上がる。


「今度は、イイ男を見つけるんだ」


黒いコートを身体に羽織る。


どうやら帰るようだ。


「誠実な男と結婚して幸せにおなり」


軽く笑ってから背中を向ける。


「ありがとう」


背中越しに気持ちを伝える。


加瑠羅はリビングを出ると玄関の方に向かって玄関扉を開けた。