知らなかったとはいえ、不倫中の薄汚い父親や母親と同じ人間だ。


なんて醜いんだろう?


その真実が私を打ちのめす。


「お義父さんも胸のサイズをしつこく聞いてくるんです」


不満気に夏子さんがこぼす。


「エロ親父だね。夏子さんが美人過ぎるからだよ。私が義父でもセクハラするね」


「先生はレズビアンですか?」


当惑して夏子さんが加瑠羅に尋ねる。


「はっはっはっはっはっ。そうだよ。レズだよ。夏子さんにキスしたい。その赤い唇が男だけじゃなく女も誘うんだ」


加瑠羅が前に乗り出してテーブルを挟んで顔を夏子さんに近づける。


夏子さんは嫌がって後ろにのけぞった。


「はっはっはっはっはっ。本気にしたのかい? そんなわけないだろ?」


豪快に笑う加瑠羅を夏子さんは呆気に取られて見ていた。


「ところで、その親父さんは家にいるのかい?」


加瑠羅の問いかけに夏子さんは首をゆっくり横に振る。


「今、いませんよ」


「一体どこに行ったんだい?」


「彩夏と遊びに行きました」


夏子さんの言葉に違和感を覚える。


『彩夏』って誰だろう?


「ああ。彩夏ちゃん」