驚いて私が口を挟む。


大学で出会って結婚したんだろうか?


「そうよ。薫ちゃん。テニスサークルで出会ったの」


微笑む夏子さんからは典雅な美しさが感じられた。


話し方も上品だ。


この人には誰も敵わない。


「遠藤君はテニスが得意だったね」


そう呟くと加瑠羅は脚を組んで横にあるクッションに肘を載せて寄りかかった。


随分とリラックスしている。


「ええ。葵はテニスが上手だったんです。大学時代はよく教わりました」


嬉しそうに夏子さんは話す。


ずっと前、フレンチレストランで初めてお食事デートした時に葵がテニスについて語っていた。


大学でサークルに入っていたとも言っていた。


そのサークルで二人は知り合ったんだ。


「青春してたなあ。あの頃はよかった。大学の頃は葵とラブラブだったんですよ」


夏子さんはティーカップを両手で持って口にそっと付けた。


そして、ひと口飲んだ。


「大学では目立ってたんだってね。遠藤君や他の編集者からいろいろ聞いたよ。美人で有名だったらしいじゃないか」


「そんなことありませんよ!」


「いや、ミスコンの荒らしだったって聞いたけどね。芸能界からスカウトされてお天気キャスターやってたって本当かい?」