「たまたま近くに用事があって来たもんだから遠藤君家に寄っていこうかと思ってね」


「そうでしたか。寒かったでしょう。すぐ開けますから」


インターフォン越しのやり取りは終わった。


声の主は若い女の人のようだった。


葵の何にあたる人だろう?


「中に入るよ」


そう言って加瑠羅はアイアン門扉を開けて階段を上がっていき玄関前に立った。


私もそれに従って門扉を押す。


門扉は重かった。


玄関扉が開く。


中から出てきたのは、キラキラ輝く芸能人オーラを放つグラマー美女だった。


そのスタイル抜群のすごくキレイな人は加瑠羅よりもはるかに美しさが際立っていた。


彼女の圧倒的な存在感が見る者を魅了する。


釘付けになっていると、ぱっと明るい華やかな笑みを私に向けた。


「さあ、入ってください」


私は彼女に言われるまま、家の中へ入った。


重厚な玄関扉の向こうに広がっていたのは大理石張りの床、白い塗り壁の格調高い玄関ホールだった。


エレガントなサーキュレート階段もあれば天井には2連のシャンデリアもある。


あたかも貴族の屋敷のような豪華さだ。


「葵の父親は芸術家なんだ。かなり家にこだわったみたいだね」