レディス・ファッションの店からメインストリートフロアに足を踏み入れると、人ごみに飲まれそうになった。


提げている買い物袋を守りながら、人ごみを縫うように進んでいく。


クリスマス・イヴとあって歩いている人々は、カップルが多い。


手を繋いでいたり腕を組んでいたりするのはもちろん、同じマフラーを首に巻きつけてイチャイチャしながら歩いていたりするカップルも見受けられた。


今の私にはアツアツぶりを見せる幸せそうなカップルは目に毒だ。


買い物で寂しさを紛らわせようとした私の考えが裏目に出た。


早く帰ろうと専門店が並んでいるショッピングモールから地下鉄に向かっていた。


ショップの林立が途切れ、大きな広場に着く。


広場には街ゆく人々が目を見張るほどの見事なクリスマスツリーが設置されていた。


ツリーのイルミネーションの輝きが感嘆のため息を誘う。


青色の光を放っていて見る者の感性を刺激する。


しばらく、その場に佇んでいると手がかじかんできたのでコートのポッケの中に入れた。


携帯に指が触れる。


携帯を摑むと、それをポッケから出して着信のチェックをした。


メールボックスを開く。


送信者の欄に「遠藤葵」と表示された未読受信メールがあるのを発見した。


さっそく読んでみる。


メールの内容は、クリスマスを一緒に過ごせない詫びと大晦日には自宅に帰るからお正月は二人で過ごせるというようなものだった。


大晦日には帰ってきて、また元の半同棲生活が始まるということだ。


複雑な気分だ。