いつ見ても不似合いだ。


「これ、どういうこと?」


私が二人に呆れ口調で聞いた。


「どういうことって、こういうこと」


こともなげに花音が言い放つ。


「いやね、花音と組んで薫ちゃんをびっくりさせてやろうってね」


優しい口調で店長が言う。


「びっくりした?」


柔和な笑みを浮かべて優が聞いてくる。


「それは、もう。なんで店にいて店員のマネごとみたいなことしてるの?」


「店員だから」


私の疑問に優があっさり答えを返す。


でも、『店員だから』の意味がわからない。


「この石川優君がバイトに入ったんだ」


店長が私に教えてくれた。


なぜ優が花音と同じ居酒屋で働くのか理解できない。


それに、優にとってこの店は苦い思い出の場でもある。


どうして平気な顔して働けるんだろう?


「優がどっかで働きたいって相談してきたんだ。冬休みは暇で何もすることがないってさ。一人ぼっちで寂しいんだって」


花音が早口で喋る。