私は言い過ぎたことを謝った。


謝ったら許してくれて新しいベッドまで買ってくれた。


基本的に葵は優しい。


でも、まだ怒っていて拗ねているんだろうか?


「今日ね、学校で面白いことがあったんだよ。私のこと嫌ってる女の子のグループが内部分裂したんだって。花音が教えてくれた。外部に敵作ったり内部で揉めたりバカな連中だよね? 私と花音のグループは仲良しで全然そんなことないよ。喋ってると楽しいし」


葵は私の話を聞いてない。


空ろな目をしている。


ひょっとすると、寝起きだからぼーっとしているんだろうか?


「前はね、学校行くの億劫だったんだ。でも、最近は楽しいよ」


そう話すと、葵が動き始めた。


葵はガラステーブルとテレビの間を通って私の前を横切った。


完全に無視されている。


心が冷えて息苦しくなった。


「かっ、花音は店長とうまくいっててラブラブハッピーなんだって」


妙な焦りで声が裏返りそうになる。


私はこんなにも存在をアピールしているのに葵はまだ返事もしない。


葵はキッチンでコーヒーを淹れていた。


コーヒーメーカーのガラス製ポットからマグカップに注いでいる。


「コーヒーなら私が淹れるのに」


立ち上がって葵の元へ行く。