私も背が高い方だけれど、花音はもっと高い。


だから、のっぽで目立つ。


顔は目が一重で細目、魔女のような鷲鼻だけれど性格は男っぽくサバサバした感じのハッキリ物を言うタイプで勇ましい。


同性からのウケがいい、男前だ。


スタイルも性格も悪くない彼女が、なぜ店長なのか疑問に思う。


じっとその店長に視線を注ぐ。


店長は私の視線に気付かない様子で黙々と下を向いて仕事をしていた。


この人が彼氏だと連れて歩くのが恥ずかしいような気がする。


下手すると自分の父親に間違えられるんじゃないかとすら思えてきた。


面白くて優しくて良い人だけれど、この人にしなくてもいいじゃない。


他に花音には、ふさわしい人がいるんじゃないの?


そう思って、花音の方を見ようと横目で見た。


だけど、花音は姿を消していた。


あれ、どこへ行った?


「花音ちゃん、唐揚げお願い」


後方で男の人の声がした。


振り返って見ると、黒の三角巾を頭に付けて青の作務衣を着た花音がこちらに背を向けて客の注文を取っていた。


私の真後ろの席で数人の客がテーブルに着いていて花音は「はい、はい、唐揚げね」と言いながら、注文を取る小さな機械を操作しているようだった。


「他には?」


「唐揚げだけ」