「あっ、そうそう！　優に新しい彼女ができたんだよ」


思い出したかのように花音が重大発言する。


「優に？」


それは、寝耳に水だった。


私の心にチクリとガラスの破片が突き刺さる。


軽いショックを受けた。


「よかったよね。彼女、可愛いんだって」


「彼女を見たの？」


「ううん。私は見てない。でも、優と同じクラスの絵梨が彼女と一緒に歩いてるの目撃したんだって。可愛かったって言ってたよ」


「それ彼女なの？」


「だって、夏休みだよ？　女の子とデートしてたんじゃない？　きっと、夏休み中にできたんだね。優ならすぐ彼女できると思ってた」


複雑な思いがした。


素直に喜んであげたい。


でも、喜べない自分がいた。


私は葵と十分過ぎるくらい幸せなのに、なぜか優が胸に引っかかる。


あの言葉は嘘だったの？


『彼女のポストは空けとくよ』って言ってたじゃない。


すぐ裏切るんだ。


別れても私のことをずっと好きでいてくれると心の中で期待していた。


私はずるい女かもしれないけれど、すぐ彼女作るならなんであんなこと言ったの？