信じていいんだろうか?


なんで私のいる前で電話しないんだろう?


私に聞かれたら、まずい話なんだろうか?


手が震える。


恐くなってきた。


葵には女がやっぱりいるんじゃないだろうか?


カッコイイ葵が私一人にモテるとは考えられない。


ライバルは他にもたくさんいるはずだ。


不安になってきた。


出し抜けにドアが開く。


びっくり仰天して二、三歩後ろに退いた。


「薫? いたの?」


葵は、あっけらかんと言った。


「葵を探してた。ここにいたんだ。急に消えるんだもん」


私は極度に緊張していた。


「そう」


葵は呆れていた。


私は呆然と佇んでいる葵の前からリビングのガラステーブルに戻った。


夏休みの宿題を解いている最中だった。


またシャーペンを手に取る。