その一言を聞いて安心した。


少しでも疑った自分が恥ずかしい。


後ろめたい気がした。


でも、葵は立ち所に姿を消した。


どこに行ったんだろう?


リビングに戻ってみたけれど葵はいない。


トイレだろうか?


使用中だとドアノブ下のカラーが青色から赤色に変わる。


トイレは青色のまま未使用だった。


葵が消えた。


黙って外出したんだろうか?


どこかで微かだけれど話し声が聞こえた。


声を頼りに葵を探す。


仕事部屋に使っている書斎から声がする。


この狭小スペースの部屋で誰かと話している。


私はドアに耳をあてて会話を聞き取ろうとした。


でも、声は聞こえるのに話の内容がわからない。


おそらく、電話しているんだろう。


相手はお母さんだろうか?


本当にお母さんだろうか?