でも、私がそれに触れる寸前、鳴り止んだ。


誰からだったんだろう?


不審に思った。


「あー、さっぱりしたよ。冷たいビールっと」


葵がお風呂から出てきてリビングに姿を現した。


葵は白いバスローブを着ていて首にかけたタオルでごしごしと頭を掻くように拭いていた。


キッチンに行くと、葵は冷蔵庫を勢いよく開けて冷えた缶ビールを手にした。


葵が缶ビールのプルを引く、「プシュッ」という心地いい音が聞こえた。


ごくごくと顎を上げて、ビールを飲んでいる。


美味しそうだ。


「私もちょうだい」


冷蔵庫の前にいる葵のもとへ飛んでいった。


「薫はまだ未成年だからウーロン茶。ちゃんと用意してあるから。これから自由に飲んでいいよ」


葵がそう言って、にっこり笑う。


「私もそれがいい」


「ダメ。これは大人の飲み物って……薫……?」


わたしの顔を見て葵が目を丸くした。


「顔色悪くない?」


私の髪を撫でながら、葵は心配そうに問いかける。


「大丈夫だよ」


さっきの携帯の着信が気になる。


もし、女からだったらと思うと吐きそうだ。