私は、あたかも生まれたての赤ん坊のように丸裸のまま白いシーツにくるまっていた。


ベッドの端から少し顔を出して白いカーテンの隙間から窓越しに見える、外の世界を見ていた。


向かいのマンションのベランダには洗濯物が干してある。


タオルや女性用インナーが吊るされた円形の物干しが、ふと目に留まり、それが、風に踊らされてくるくると回っているのをぼんやりと眺めていた。


ひととおり、回り終わると円形の物干しは静止した。


そして、また風に煽られると動き始めて私の目を楽しませてくれた。


音のない、動きのない、無機質な空間に私はいる。


外の世界とは隔絶された世界だ。


その静寂を破ったのは、ベッドのそばの床に座っていた彼氏の優だった。


優はずっと服を着終わった後、喋ることなく体育座りをして俯いていた。


セックスが終わると、いつもこうだ。


彼の癖なんだろう。


その優が、私の部屋にある小型テレビのリモコンをいつのまにか手にしていて電源を入れたのでテレビの音が聞こえてきた。


昼のドラマが始まっていた。


テレビ画面に可憐な子役の女優が映っていて長い台詞を滔滔と喋っていた。


感心して見入っていたけれど、何気なく視線を落とした。


よく磨かれた、木でできた茶色の床に日が差し込んでいるのが見える。


その時、視界にあるものが入った。


床の上に、白い何かが落ちている。


何だろうと思ってよく見てみると、それは、ベッドの真横にある、くずかごに入れたはずの丸められたティッシュだった。