「松永さん、ちょっといい?」


次の授業の準備をしていると、後ろから少し高めのハキハキとした声が、私の名前を呼んだ。


振り向くとそこには、髪を金髪に近い色に染め、目は大きく見せるためのメイクをした女の子―クラスメイトの立花さん(?)がいた。


「…あ、な、何でしょう」


多少どもりながら、私は彼女の方に体をむけ返事をする。


「…これ、昨日の帰りのSHRで配られたやつ。松永さん、昨日早退したから」


その声は、どこか距離を感じるような冷たさを帯びている気がした。
私は眼鏡のフレームを触りながら俯き、ありがとう、と呟いた。