「うん、ありがとう。」

そう言って彼は私にイヤホンの巻かれたウォークマンを差し出した。

それに目を奪われていると…

「知ってる曲は少ないと思うけど、暇なら聞いてみて。」


そう言って末野くんは私の手に握らせた

「ありがとう」


そう言ってイヤホンを付け、前に末野くんが聞いていたのか、
途中だったその曲を戻して頭から流した。

知らない曲だった。

でも、なんだか涙がでた。


それをみたのか末野くんは読んでいたページを開いたまま本を伏せ、私に声をかけた。

「雛、どうしたの?」

そう言ってイヤホンを外した私の頭をなでてくれた。


「なんでもないの!この曲良いね。」

泣いてしまったことが恥ずかしく、慌てて返事をした。


すると、ウォークマンの画面をみて、
「良い曲だよね。俺も始め泣いたよ。」

そう言って懐かしそうに薄く笑う。



ほんとに綺麗な横顔だな…