私は図書委員。

なんて言っても形だけだけど…


放課後の図書室はあまり利用されない。

皆は授業が終われば直ぐに帰るし
残ってる人は、ほぼ部活動の為。



ガラガラッ

扉が空く音がした。
きっと、末野くんだ。


「…雛、早いね。」

「あ、末野くん。
ううん、さっき来たばかりだよ。」

この人は末野由紀くん。
こんな暗い私に対しても優しい人。

皆は格好いいなんて言いながら《見た目殺し》なんて言う。

私から見れば見た目のまま優しいのにな…


「ねぇ雛、今日は何読むの?」

「う~ん… 本の気分じゃないな…」

なんて呟くと、

「じゃあこの前雛が読んでたの、俺に貸して?」

「えっ?」

「えっと…、シェイクスピアだっけ?」

「ああ、うん…。とって来るね。」


びっくりした。
去年も同じ委員だったけど、本なんてあんまり読まなかったから…。

私はいつもこの時間は本を読んでいる。
その隣で彼は音楽を聞く。

たまに話す。

それで2時間程を潰していた。


「はい、これだよ。」

そう言い、私は彼にシェイクスピアのロミオとジュリエットを渡す。