あたしは、頬をひきつらせながらも笑った。


「じゃぁ、あたしらデート行ってくるね♪」


さゆかはゆうまの腕にぎゅっと抱きついた。


ゆうまはかまわずに、手を振ってくれたので、あたしはにっこりと笑う。


兄弟みたいにじゃれあう二人はあたしに背をむけ、校門を後にした。


あたしは、その場にずっと立ち尽くしていた。


さゆかがゆうまの腕に抱きつく姿。


思い出しただけで、目頭が熱くなった。


ゆうまはもう、さゆかのものなんだ。


あたしは、生まれて初めて叶わない恋をした。


生まれて初めて一目ぼれをした。



したをうつむくと、涙が零れ落ちた。







涙は、だれかの足跡に消されてしまった。