あたしは安堵の息をつく。


その後ぼんやり黒板の字を追いかけて読んでみたが理解できず、すぐに机にうつぶせになった。


窓際の席はあったかく、太陽の香りがする。


これみよがしにつける香水の香りとかよりも、太陽の香りの方が好きだ。


やさしい、包み込んでくれるような香り。


風の香りも好き。


気持ちがスッキリするような、自然な香り。


ここにいると、あの人を思い出す。


あの、きれいな目を思い出す。


胸が苦しくなるけど、白い絵の具にピンク色をちょこんとおいてふわりと心の中に広がるような幸せもあった。


そうしてあたしは寝てしまっていた。