「まずはこちらをご覧ください……」

すると
真っ白の光に包まれていたその世界が、
電線が焼き切れたかのように一瞬で闇に堕ちた。

「何だ……!?」

パルスは何も言わない。
残された僕とパルス。
聞こえてくる悶える人間の声。急に襲いかかる寒気。
「うっ……ごふっ……けほっ……けほっ……!!」

空気が……異常に汚い。
車の排気ガスを深呼吸している感覚だ。
そして周りを覆っている闇が段々と薄れていく。目が慣れてきたお陰か、うっすらと何か人影が見える。

「灯りをつけましょう」

パルスが小さな手の中に光の球を作り出す。
パルスはそれを真上に放り投げた。
遥か上空へと飛んでいき、花火が爆発するような音が暗黒の世界に響いた。
途端に
空から光が降り注ぐ。
それでもなお辺りは薄暗いが、この世界の様子が分かるぐらいにはなった。

「うわ……!!」

僕が先ほど人影のように見えていたものは、
人間の白骨だった。
壁にもたれかかるような体勢で骨と化している。そしてその骨すらもあちこちが朽ちていて、茶色に変色しているように見える。
辺りは生物の影が無ければ建造物も無い。岩とほぼ同義の廃墟が残るだけだ。