「だから……契約って何だよ?」
「分かりました。私が説明しましょう」

そこから女性は長々と喋り始めた。

「私の名前から話をしましょうか……。私の名はパルス。タイムトーキーと呼ばれるもののひとつです」

「タイムトーキーって?」

「分かりやすく言えば、時間転移能力を持つ妖精、つまり私ですが、その妖精が込められた石のネックレス、すなわち今貴方が持っているそれのことです」

僕はネックレスに目を落として見る。

「この中に…君が?」

「そうです」

しかし、いきなりそんなこと言われても信じがたい。それが本音だ。パルスはその本音を感じとったのか、
「今から話すことは現実味を帯びていないものばかりです。しかし、私は事実でないことは一切喋りません。全て事実であることを忘れないでください」

わざわざこんなことを言うぐらい、不可思議な事を喋るのだろうか?

「先ほど申し上げましたように、私はそのタイムトーキーの中で眠っていました。私と正式に契約する人を待つためです。そして私の契約者に、貴方が選ばれました」
「だから、契約って何なんだ?」

パルスは僕と視線を合わせて言った。

「私の力が貴方の物になる契約です」