アイツ……遅い。
もう約束の5時をとっくに過ぎてもうすぐ5時30分だぞ?
思えば極度の天然ボケ妹に待ち合わせの約束をするということ自体が愚かだったかもしれない。もしかしたら明日の明朝5時と勘違いしていないだろうな?
僕が絵夢に、正確に午前午後を伝えたかどうか思い出していると。

「やっと来やがった」

遠くから絵夢が走ってきた。

「お兄ちゃ~ん!」

いきなり抱きついてきて、僕の胸の辺りで頬ずりをする。
いや、あの。
僕を中心とする半径数メートル以内の皆さん。
断じて言うが、
僕はロリコンじゃない!!シスコンでもない!!
その後、妹は荷物を全部教室に置き忘れるというボケをやらかして、僕は呆れながら、妹は笑いながら、教室に戻って家に向かうのだった。

時刻は夕方6時17分…
23分発の帰りの電車を待つ。帰宅ラッシュになるかならないかの時刻だ。すでに電車はかなりの人が乗り込んでいて、椅子も埋まっていた。